今でもちょっと切ない。『サンドピクチャー』による脳内刺激。

手のひらにザラザラした感触が残っていて気付きました。さっきグラニュー糖をこぼしてしまったんでした…。年々指先の油分が減ってまして、オットのコーヒー用グラニュー糖を入れている容器が私の手から滑り落ちてしまったのです。あーぁ。床に落ちたザラザラを掃除機で吸ったのだけど、キッチンのカウンターに少し残っていたのですね。ザラザラ。ザラザラ…。

黒い紙の上にザラザラを集めてみました。さっきまで私の手のひらでほとんど存在感のなかったザラザラが急にキレイに見えるから不思議ですね。


ずっと忘れていたけれど、きれいだったあの絵のことを思い出しました。もう別れ話をしていた相手と最後に会おうと言った日。上野公園をほとんど会話もなく歩いていると、道に布を広げて絵を売っている外国人がいました。よく見ると、それは描かれた絵ではありませんでした。アクリル板に挟まれた僅かな空間にいろいろな色の砂が入れられていて、逆さまにするとその砂が落ちてきます。何度か繰り返してみましたが、一度も同じ絵にはなりませんでした。いくつかの作品が並べられている中、私は白と黒とグレーのグラデーションになった、ものすごーく暗い配色の作品に目を奪われました。今思えば、まるでその彼とのドロドロな恋愛期間を物語っているかのようです。

結局、彼がそれを買ってくれました。


別れようとしている相手からプレゼントを買ってもらうなんて、おかしな話ですよね。でも、もうどうしようもなくその人のことが好きでしたから、拒否する理由なんてありませんでした。それをもらって家でその砂が落ちるのを見て、どんどん立ち直るのが遅れました。彼も、そうやって私を繋ぎとめておきたかったのでしょうね。


数年後に、その砂のアート作品は処分しました。もう必要ないと思ったから。


ふと思い立って、ああいう作品は今もあるのだろうか?と、気になりました。ネットで検索してみたら、『サンドピクチャー』と呼ばれるものを見つけました。実際に砂が動く様子を見られる動画もあったので、見てみたら、まさにこんな感じだったなぁ…と。キレイ。

買っちゃおうかな…。砂が落ちるのを見るためだけに時間を費やすのも悪くないと思うのです。