イシイ君とカニ。いじわる…時々やさし。

最近、小2の娘の恋話が面白いです。ちょっと気になる男の子の話をしてくれました。

『いつもはね、いじわるなんだけど、時々やさしいんだよ。時々やさしい人っていうのがみりょくてきなんだよ、ママ。』

真剣に教えてくれました。(笑)確かにそうかもしれないね。いつもやさしいばかりが魅力的な男とは言えないもんね。しかし、2年生になってから急激に大人びた発言をするようになったなあ。小学生女子というのは、侮れませんな。

自分の小学生時代のことを思い出しました。小学1年か2年の頃だったと思うのだけど、隣の席のイシイ君がとてつもなくいじわるで、消しゴムを隠されたりノートにぐちゃぐちゃないたずら書きをされたり、髪の毛ひっぱられたり…本当に嫌でした。そのうち私の腕をつねったりするようになって、アザができてしまった時に、父が学校にのり込んでいったのでした。どんな話がなされたのかは知りませんが、当時は父が学校にわざわざ来たことがものすごく嫌だった記憶があります。

4年までずっと一緒のクラスだったイシイ君が転校することになりました。その頃には、もうさすがにつねられたりすることはなくなっていましたが、特に親しくなることもなく、無口な男子という印象でした。

イシイ君が、最後に登校した日の放課後、私が友人の家に遊びに行こうと家の玄関を出ると、イシイ君がバケツを持って立っていました。私の家は学校の目の前で、クラスの子ほとんどが私の家を知っていたのです…。バケツの中には、小さなカニが入っていました。何も言わずに、カニを手渡される私。

正直、『何これ?』って感じです。ありがとうすら言ってない気がします。きっときょとんとしているうちにイシイ君は帰ってしまったのでしょう。母親に『イシイ君からカニもらった。』と、言って私は遊びに出かけました。カニは、ほどなくして死んでしまいました。

後になって、あのカニはもしかしたらイシイ君の精一杯の贈り物だったのかな…。なんでちゃんとお礼言わなかったんだろう?と、後悔し、カニを持ってきた時のイシイ君のやさしい目がその後もずっと心の中に残ったのでした。イシイ君が転校せずにずっと近くにいて、時々やさしさを見せてくれたら、恋心を抱いていたのかもしれませんね。


娘にこのイシイ君とカニの話をしたら、目を丸くして聞き入っておりましたです。そして『なんかさ、そのイシイ君かっこいいね!』だって。カニを持ってきた小4男子…かっこいいか?


娘といろいろな話しをするのが楽しい今日この頃です。
色褪せた思い出は、語ることで新たな色で塗られた記憶となります。