『とある夫婦の離婚序章』にやっぱり書きたくなりました

例の『とある夫婦の離婚序章 』から波及した文章を読ませていただきました。

夫婦の形というのは、本当にいろいろなのだろうと思うけれど、この10年間の結婚生活でなんとなく'大事'と感じているのは、『自分の気持ち』と『相手の気持ち』のバランスを常に考えることかなぁと。またそんなきれい事を…と、言われそうですが、結構本気です。

今回の、このご夫婦の一件にしても、家事育児の分担量がどれだけだとか、ご夫婦の年収バランスがどうだとか、そんなことを論ずるのはこの問題の本質に届かないのではないかなぁと思うのです。

私の個人的観点から読んでみると、家政婦やベビーシッターを雇ってよ!と言う奥様の本当の心情は、もしかしたら『家政婦が欲しいほど、家事がまわらない。』というところだけにあるのではないと思うのです。だって、よほど神経質なご夫婦じゃなければ、数日掃除しなくなって(!)平気でしょ。土日になんとかなるし。

『こんなに大変なんだよ。心がキイキイ言ってるんだよ…。あなたが帰ってこない夜、娘と2人でいるのは不安なんだよ。ぐずる娘の手を引っ張って、仕事帰りに10分の道を1時間かけて帰ったりするのにもうクタクタなんだよ。』…私の想像する奥様の声です。ていうか、かつての私の声です。そんな状態の時に、『ほら俺はこんなにやってあげてるし、君の希望通りに家政婦だって雇っただろう。』と、言われたら心底悲しいと思うんだけどな。

こういう思いが積もり積もって、弱音を吐けない強いタイプの女性だったりすると、それが違う形で言葉に出ちゃったり、理論派の方ならば、交換条件突きつけて相手を責めたくなってしまったりもするのでしょう。この奥様は、こんな弱音が吐けないくらい人生頑張っちゃってるんじゃないかな?もしかしたら、もっとキャリアを積んでいきたいけれど、娘の保育園のお迎えがあるから無理して定時に帰っているかもしれないし、娘さんがちょっと体調が悪い時などにもご主人が泊まりで仕事だったら不安な上に、自分の仕事の調整もつけなければいけない。仕事を優先したいと思う気持ちと、娘に対してちゃんと母親業できているだろうかという葛藤に悩む…とかね。そんな毎日だったら、本当に発狂しそうになります。(全て想像ですけどね。)

もう、まさに数年前の私ですよ、これ。


男性の皆さんは裏に隠れる気持ちまで考えるなんて『めんどくせー!』と、思いますかね?でもね、こういうちょっとした気持ちって、がむしゃらな時になかなかパートナーに伝えられないんですよね。これが夫婦間で言えるようになると、すごく楽になるってこと、ありますよ。実際、我が家でもオットは私が家事育児と仕事の両立に悩んでいるとは全然思っていなかったそうですから。むしろ『好きな仕事が続けられて、子供にも恵まれて幸せだろう君は。』と、思っていたと申しておりました。気付こうとしなければ気付けないし、伝えようとしなければ伝わらないんですよ、悲しいけれど。



私は、娘が1歳4ヶ月なったところから仕事復帰したので、保育園に娘を預けフルタイムで働いた期間が約4年間。娘が小学校に上がるタイミングで同じ職場でパート勤務(週4〜5日で9時5時)にしてもらいました。出ている時間もそれ程変わらず、やっている仕事内容は正職員の時と全く同じなのに、年収は約半分になりました。

オットは、今回の話のご主人とまではいきませんが、激務で会社から帰るのは夜中1時くらいというのが当たり前の暮らしでした。娘が熱を出したといって保育園から呼び出しがくるのも私の職場。休むのも私。正直、当時はこれが相当のストレスでした。

ある日、残業で夜8時に保育園にお迎えに行った時、娘がたった一人で保育園で私を待っていました。別に娘は寂しそうにしていたわけではないのだけれど、当時お互いの仕事も忙しくて帰りの遅いオットとは話しをする時間すらなく精神的に不安定になっていたこともあって、真っ暗な帰り道、娘の手を引いて歩きながら、『私、何やってんだろ?』と思ったら涙がつーっと出てきて。

正職員を辞めてしまったら、もう戻れないとか、そんなの大人の勝手な事情。オットの稼ぎに、少しだけ私が働けば、娘を一人育てるくらいのお金にはなる。そう考えるようにして、パートになったというわけです。言葉にしてしまえば簡単なのだけど、この結論に達するまでに自分の気持ちの整理はなかなかつきませんでしたし、正直なところ今だって迷いだらけなんですよねー…。


仕事で得たキャリアや信用を捨てるのは、今まで努力を重ねてきた人にしてみれば、本当に悔しいことだと思います。だけど、自分の選んだ夫や、自分の産んだ子供の大切さは、何にも代え難いものだと思うし、何より自分が選んだんですから、そこにも責任があるんですもんね。


辛くなったら、深呼吸して考えます。こどもの気持ちを。オットの気持ちを。
…それから、私の気持ちを。
頑張って相手に自分の気持ちを伝えた上でも、やっぱり飲み込まねばならない"気持ち"もあります。飲み込まなければならない気持ちは、犠牲ではなく糧…。


今回の件のご夫婦も1歩立ち止まって、今までたくさん話し合ってきたであろう家事分担の話し合いではなく、自分が今何を思っているのか?ってところを…伝え合ってみたらどうでしょう。もしかしたら、それによって解決ではなく、新たな問題が…ということになるかもしれないのだけど。ご主人も、あれだけの対策をご自身で考えて実行できる方なのですから、ダメな夫なんかじゃないと思いますよ。

うーん…。幸せになって欲しいと思います。