土筆を見つけました

朝、通勤時に時々職場近くで会う初老の男性がいます。顔見知りになり挨拶を交わすようになりました。

職場の近くだと思うと、患者さんかもしれない…という緊張感を持って歩いているのかもしれませんね。普段は知らない人と挨拶を交わすなんて考えられませんから。知っている人だって、なるべく会いたくないと思っているくらいなのに。

朝はお互いに急いでいるので、軽く会釈をするだけなのですが、今日は帰宅時にばったり会いました。私が道端ににょきにょき生えていた存在感抜群の土筆に携帯のカメラを向けているその瞬間でした。携帯カメラを道端でかまえている自分がどうにも気まずくて、慌てて携帯をポケットにしまいます。

『こんにちは。』『あなたは、あそこの病院の方?』そう話す男性の手には杖が持たれていました。左手はダラリとポケットにつっこまれています。『あぁ、土筆ですね。今時めずらしいですね。いい写真が撮れましたか?』私は、その男性の静かな話し方にちょっと安心し、『この土筆は逞しいですね。こんなところに生えてくるんですから…。』と、答えて、『ではまた。』と、別れました。

とても笑顔の素敵な男性でした。


娘には、『知らない人にはついていってはいけない。』『道で知らない人から何か話しかけられても自分のことを話してはいけない。』そんな風に教えなければならないのだけど、こういう何気ない出会いに、もしかしたらとっても大事な何かがあるのかもしれないのにね。