『蛇を踏む』 川上弘美

川上弘美さんの『蛇を踏む』を読み返してみました。

1996年上半期に芥川賞受賞された作品です。ちなみにその年の下半期は柳美里さんの『家族シネマ』が受賞されていて、この頃はやたらと本を読んでいたんだよなあ…と。

蛇を踏む (文春文庫)

蛇を踏む (文春文庫)

今日、どうしてこの作品を選んで読んだか??それは限りなく”ありえね〜!”という話し(それを川上弘美さんはあとがきで『うそばなし』と呼んでいます)を読みたかったから。そういう時はよくカフカの変身を読むんですけど、今日はあの蛇のどうにもならない気持ち悪さが味わいたかったもので。だって、耳に小さい無数の蛇が入ってきて、ドロドロピタピタなんですよ。踏んづけちゃった蛇が中年の色白おばさんになって、自称お母さんだと言い張って『ヒワ子ちゃん、おかえり…』って美味しいおかずと冷えたビール用意して待ってるんですから。

だって、ヒワ子ちゃんって名前も気持ち悪さ倍増じゃないですか。蛇は多分高くて湿った声なんだろうなあ…それで

『ヒワ子ちゃーん、ヒワ子ちゃーん、蛇の世界はいいわよー。あたたかいわよー』


うわーっ。鳥肌立ちました。これだよ、これ。


ただね、今回この本を読んだのが眼科の待合室だったのが失敗でした。周りが気になっていまひとつ入り込めなかったです(笑)できれば、こういうタイプの小説は一人の部屋でじっくり読むべきですね。

というわけで、読後感想でもなんでもなくなっちゃいましたが、癖になる川上ワールドを堪能されたい方にはお勧めの一冊ですよ。