『壁』と『卵』…村上春樹氏エルサレム賞授賞式

エルサレム賞の授賞式のニュースを読みました。村上春樹さんは、授賞式のスピーチで、私が全く期待しなかったことを話されました。それは、本当に心躍る期待の裏切られ方であって、この朝日新聞の記事の文字を読みながら、なんだか胸が熱くなりました。(…最近いろいろなことに胸が熱くなり過ぎという感もありますが。)

村上さんは、授賞式への出席について迷ったと述べ、エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」と説明。体制を壁に、個人を卵に例えて、「高い壁に挟まれ、壁にぶつかって壊れる卵」を思い浮かべた時、「どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」と強調した。

 また「壁は私たちを守ってくれると思われるが、私たちを殺し、また他人を冷淡に効率よく殺す理由にもなる」と述べた。イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁の建設を意識した発言とみられる。

この朝日の記事では、『イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁の建設を意識した発言』としています。もちろん、それを意識して話されたことに間違いはないのだと思うけれど、この『壁』と『卵』は、体制と個人を表現しているのだから、もしかしたら今回このスピーチの場に立つまでの大きな壁と村上氏ご自身のこととも考えられるなぁ…と、ボーッと考えていました。

そして、これはこのメッセージを聞く誰の立場にもあてはまる。小説の読み手が自由に心の中に道や穴を作るように、世界中に届けられて、いたるところに存在する壁と卵へのメッセージとなるのでしょう。そしてそして、当たり前みたいに平等に私の上にも降ってきたわけですな。

スピーチ全文読みたいなぁ…。なんだか新聞の記事は記者の解釈でずいぶん印象が違ってるような気がするし。

FNNの映像がありました。話している春樹さんがちょこっとだけ見られますよ。当たり障りのない部分だけが編集されているようだけど。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00149487.html


改めて…。村上春樹さん、素敵だなぁ。