伝説の女性

私の職場は病院の中のひとつの科なのですが、部長以外8人が女性。まあ病院という場所は女性が多い職場ですから一般的とも言えますが。

女が8人もいれば、面倒ないざこざが起こりそうでしょ?実際、私が入った当初は仕事のできる情緒不安定子さんが一人いて、新卒で入ってきた子やキャリアのない主婦のパートを部長の目を盗んではイジメている状態でした。もうそのイジメが本当にくだらない。器具を置く位置が10センチずれていても不愉快らしく、その理由を問い詰めたり相手を罵倒する。それが患者さんに迷惑のかかることであれば、厳しく指導するのは当然だと思うけど、自分の気分で当り散らして、周りをいやーな空気にするのは勘弁だなぁと思うわけで。

私は、普段ボーッと我が道を行くタイプなのですけど、それを見ていたら眠っていた正義感が蘇っちゃって、その情緒不安定子さんに腹が立ってきたわけです。でも、そこで感情的にまくし立てたら多分彼女のプライドも傷つけるし(…というか、まくし立てるだけの弁もたたないんだけど…)逆にまた新卒の子へのイジメがエスカレートするかもしれない…と思ったので、彼女のいいところ…例えば仕事への情熱とか技術力とかの話しを彼女とするようにしてみたら、彼女、すごくうれしそうだったんだよね。

彼女のストレスの源は、職場で自分のスキルアップをしたかったけど、低レベルな人達と一緒にされて…みたいなところからきていたようでした。仕事への情熱や真面目さが仇になっちゃったのでしょうかね。私達の仕事って、実は技術力よりもむしろ『チーム力』が最大の武器なんだけどなぁ…。なかなかそれにはまだ気付けない状況のようでした。


その少し後で彼女はうちの職場を辞めて、スキルアップのために自分が極めたい分野を得意とする師のいる職場へと移っていきました。

彼女の送別会の時『私はこの職場には何一ついい思い出なんてありません。得るものはありませんでした。』と、言って、周りのイジメ続けた人達を凍りつかせた彼女、やっぱりただ者ではなかったですよ(笑)

結局、私が彼女と一緒に仕事をしたのはほんの数ヶ月でしたけど、同職種の人との多くの出会いの中でも特に印象に残る人となりました。どうしてるかなー…。


そして今、職場では当時イジメられていた新卒の子が入職してから5年目を迎え、生き生きと働いています。キャリアのなかった主婦の人もその物腰のやわらかさや人生経験の豊富さを生かして、チームになくてはならない存在になりました。当時のイジメの話しは今や伝説になっています(笑)

今の職場は、歯車が上手くまわっている感じです。

新たな問題もあるのですが…またそれは今度ということで。